別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
お父さまの発言を遮りきっぱりと宣言してくれる陸人さんに胸が熱くなる。


「そう、か」


肩を落とすお父さまは、ソファに深く腰掛けてため息をついた。

歓迎されていないのがありありとわかり、とても口を挟める雰囲気ではない。

――私、なにかしてしまっただろうか。


「今日はこれで失礼します。心春、行こうか」


陸人さんは私を促して立ち上がる。


「陸人、あなた本気で……」
「俺は彼女と幸せになります。これは相談ではなく、報告です」


切羽詰まったようなお母さまにそう告げた陸人さんは、私の手を引き天沢家をあとにした。


ガレージで車に乗り込み、すぐに口を開く。


「私、歓迎されてないですよね」

「いや。……俺、ずっと親父の友人の娘さんとの縁談を勧められてたんだよ。その女性と結婚する気はないから断ったんだけど、あきらめてくれなくて。それであんな態度を。ごめんな、心春」


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