離婚しましたが、新しい恋が始まりました
逸子が着替えに立ってから磯田に聞いてみると、結衣を早く結婚させる話は本当らしい。
「何でも、お金持ちの方とか、お医者様とかを今日はお呼びしているみたいですよ」
「父を偲ぶ会なのに?しかも、何人も?」
呼びつけているのがひとりやふたりではないと聞いて、紬希は益々驚いた。
「あの方にはそういう感覚はありませんから」
磯田の口調も厳しいものだった。
「叔父さんの機嫌がまた悪くなるわね」
紬希と磯田は同時にため息をついた。時計を見ると、そろそろケータリング会社のスタッフが来る頃だ。キッチンは磯田に任せて、紬希は納戸の片付けに取り掛かることにした。
「磯田さん、いよいよあの荷物を処分するわ」
「お嬢様……」
「流石に、邪魔って言われたらねえ……」
「お気になさらなくても、ここはお嬢様が生まれて育った家ですのに」
そう思って未練がましく荷物を置いていたが、この家の名義は義母になったのだから潮時だろう。
「母の物で欲しい物だけまとめておくから、残りは磯田さんが業者を呼んで処分して下さいね」
「は、はい」
磯田は少し涙ぐんでいた。何度も何度も同じ言葉を口にする。
「本来なら、ここはお嬢様の……」
「いいのよ、磯田さん。私は一人でのんびり暮らせて幸せだから」
それ以上、磯田は何も言わなかった。