お館様の番選び
ゆっくりこちらに近づくと陽は鉄格子を掴み、微かに微笑みながら言った。

「…ねぇ。朧。お願い。繭をここに連れてきてよ。父さんが繭を隠しちゃたんだ。…もうすぐ生まれるっていうのさ………。」

…何……だって…。

「ふふ。何驚いてんの。朧。最初に言ったよね。彼女のお腹には新しい命が宿ってるって。繭と僕の赤ちゃんがさ……。」

「…でも、それは……?!」

?…もし…かして…都合よく…記憶を……そう…なのか?いや。混乱?しているだけ…なのか…?

「繭は僕のものなのにさ。繭の身体も…繭の髪も…繭の瞳も唇も…全部…全部…子供だって…僕のものだ…戻してくれっ!…返せっ…返せよっ!!」

…陽……。
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