お館様の番選び
「きやっ!」

いきなり鉄格子の間から陽様の手が伸びてきて、朧のその背に庇わなければ危うく赤ちゃんを奪い盗られるところだった。

「…繭…繭…。会いた…い…。…繭…。」

「…陽様…。」

涙で陽様の姿がよく見えなかった。

「陽っ。見ろよ。繭さんと…お前の子だ。」

朧がわたしと赤ちゃんを陽様の手の届かない範囲で前に出す。

「………繭と…僕…の?……嘘…だ。だって、繭の…お腹には……。」

「……たぶん…流れたんだろ。……なんでかはお前が一番分かってるはずだっ。」

陽様は黄金色の目を大きく見開いた。

その目からはみるみる涙が溢れていく。

「……うっ……うっ…うぅぅ…うー…繭…ごっ…ごめっ…ごめん…なさい……。」

陽様は地面に蹲ってただただ震えて泣き続けていた…。
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