お館様の番選び
「起きたのか?」

物音がしたのに気がついた父がわたしの部屋に入ってくる。

「お父さん…。わたし…どうしたんだろ…何も覚えてなくて…。」

ベッドの側に立つ父の顔を見上げると、少し寂しそうに笑った父はわたしの頭を撫でながら言った。

「傷が治ったら、お館様にご挨拶に行くことになった。あかり。朧様の側でしっかりと働きなさい…。」

返ってきた父の言葉にその時のわたしはただただ困惑していたのだった。
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