お館様の番選び
…少し時間がかかったが、体調も良くなり身体中の傷もだいぶ分からなくなった頃、わたしは父とともにお館様のお屋敷に向かった。

表玄関から屋敷に入ると、朧が迎えに出てきていた。

数年ぶりにちゃんと向き合ってみて、以前より幼さがぬけ、少年から青年に移り変わる間の独特の色気を醸し出すようになった気がした。

「あかり。早く入って。」とニコッと笑って手招きする朧は昔のままで嬉しくなる。

父とわたしは朧に案内され、お館様のいる部屋に向かう。

長い廊下を進むうちに少しずつ緊張感が増していく。

そんなわたしを朧はじっと見つめていた。

「なによ。」
「…いや、なんでもない。」

そう言って前を向いたが、またすぐに視線を感じて顔をあげると朧と目が合う。

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