お館様の番選び
それからどうやって家に帰ってきたのか覚えていない。

「朧、どうした?ぼーっとして。」

夕食の席で父に声を掛けられて正気に戻ったくらいだ。

「なんでもないよ。ごちそうさまでした。」

何か勘ぐられる前に自分の部屋に逃げ込んだ。

部屋に戻って、やっと一息つけた。

……これから、どうしよう。父さんに言わないと駄目だよな……。

……うわっ、恥ずかしい。無理……だよ。

…あかりは……僕のこと……番だって知ってる?……の?

……あぁ。それはないか……あかり……大人…じゃないし……今、あかりに番のこと告げて…困ったりしないのか…な?

……でも言いたいな。あかりは僕の番だって。

……僕のものだって。……言いたい…。

僕は番を見つけたことを誰にも話さなかった。

あかりには時をみて、自分で告げるつもりだったんだ。

僕がそんな決意を胸に秘めていた頃、突然僕の番選びが始まった。
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