お館様の番選び
「朧様。こちらの方はどうですか?。」

毎日のように屋敷に送られてくる郵便物の中身は番のまだいない娘たちの一部なのだという。

僕の知らない間に世界中に僕の番選びが始まったという知らせが広まっていた。

送られてきた娘たちの身体の一部の中から番を選べということらしいが、あかりが番だと分かった以上、無駄なことに思えてまったくやる気なんてしない。

それだけならまだしも、知らない間に娘たちと直接会う場をたびたび設けられて困った。

番選びをさぼり、あかりのところに逃げたこともある。

「駄目じゃない。朧の番選びはわたしたちにとっても大事なことなんだよ。」

…あかりには言われたくない。苛立つ。

皆から番選びの重要性を教えられるが、僕にはあかりがいると告げられない自分に嫌気がさす。

とうとうあかりも僕を見放したみたいだった。

なんども告白しようとするが、恥ずかしさが先にたち何も言えない。

僕とあかりとの距離はますます遠くなった。

ただ僕には希望があった。

あかりが成人して、僕があかりの番だと気がつく時がきっとくる。それまでの辛抱だと……。
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