お館様の番選び
あの日…僕は自分の部屋から満月を眺めていた。

父は満月の夜の巡回の為、屋敷を留守にしていた。

母も別の町に住む兄の所にいて、屋敷には僕一人だった。

一人だったが、僕は浮かれていてなかなか寝つけなかった。

やっとあかりが成人の日を迎えた…その知らせを聞いて誰よりも喜んでいたんだ。

ああ…やっとだ……あかり。…あかり。

がさっ。庭の方で音がした。

なんだろうと目をこらすと獣の目が光った。

ゆっくりこちらの方へ動いているようだ。

低木の間から人影が出てきて……その姿は……あかりだった。
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