きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
夏休みに二人で隣の件にある遊園地へ行った時、私たちは気が付かなかったけれど、隣のクラスの女の子たちが私たちの姿を見ていたらしい。

始業式の日、話したこともない女の子たち数人にいきなり声をかけられたと思ったら、「宮本くんと付き合っているの?」と尋ねられたのだった。

きっと私に質問をした女の子は、宮本くんのことが好きなのだろう。

「付き合ってないよ」

私の返事を聞いて、「よかった〜」と大きく安堵のため息をついたのだった。

ただ、事はそれで終わりではなかった。

私が「付き合っていない」と答えたにも関わらず、その女の子たちは宮本くんにも直接聞きに行ったらしい。

「ああいうの、ほんまに鬱陶しいねんけど。そもそもあいつら、誰やねん」と苛立ち気味に私に報告してきた。

遊園地に行こうと誘ったのは私だった。

もし私が言いださなければ、彼に苛立ちや不快な思いをさせずに済んだかもしれない。

彼から話を聞いて、誘ってしまったことを後悔したのだった。

「あんな女たち、放っておけばいいやろ」

「いやあ、でももし試合会場で会ったら気まずいじゃん」

一緒にいるところを見ただけで、わざわざ初対面の私に付き合っているのか尋ねるのだから、あの女の子は宮本くんのことがかなり好きなのだろう。

応援に来ていても不思議じゃない。

「無視すればいいやん」

「あのねえ……」

そんな簡単な問題ではないのだ、女の子にとっての“恋”って。

好きな人に、自分より仲の良い異性がいればとっても気になるし、その人との関係を知りたいとも強く思う。

本人の口から「恋人ではない」とはっきり告げられた相手だとしても、もしその異性が、自分の好きな人の為に応援に来ていたら?

きっと疑いの気持ちは強くなる。

本当に付き合っていないのか。
本当に恋人じゃないのか。
もしかして、”良い感じ”の人なんじゃないのか。

そして本当のことが知りたくて、聞きに来るだろう。

聞きに行く相手が私ならいいよ?けれど、もしまた、宮本くんに聞きに行ってしまったら?

また、宮本くんに嫌な想いをさせちゃうじゃん……。

< 103 / 146 >

この作品をシェア

pagetop