きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
「あー、もう、わかった。もうほんまのこと言うわ」

行く、行かない、の押し問答を続けた後、宮本くんは足をぱたりと止めると、頭を掻く。

「なんでバスケの試合誘ったかわかる?」

「え、予選の初戦だから……?」

「違うわ!」

あれ? けどさっき、「初戦だから見に来て」って言っていなかった?

「……そもそも、なんで毎日一緒に帰ってほしいって頼んだから、わかる?」

「それは……」

覚えている。嬉しすぎる言葉だったから。

でも自分で言うのは少し恥ずかしい。

彼から目を逸らして黙っていると、「気になるねん」と、彼がつぶやいた。

「気になる?」

「うん」

彼は何かに挑むような、真っ直ぐな視線を私に向けると、意を決したように口を開いた。

「もちろん、高橋と一緒にいるのが楽しいっていうのもあるけどな? でも、それと同じぐらい気になるねん。……高橋が、辛い思いしてないかなって。また一人で抱え込んで、無理矢理笑ったりしていないかなって」

「宮本くん……」

「ふとした時、気になるねん。一回気になると、高橋が笑っている顔を見るまで、なんか落ち着かんへんねん」

何それ……。

もしかして宮本くん、一緒にいない時でも、少しは私のことを思い出してくれているんだろうか。心配してくれているんだろうか。

やっぱり宮本くん、優しいところあるんだな。

「……大丈夫だよ? もう泣かないよ?」

「うるさいなあ! どうせ暇なんやろ?! じゃあいいやん!!」

「いや、暇じゃないし!」

それでも、そこまで言ってくれるなら、試合を見に行ってみようかな。

「……悠斗でも誘っていこうかな」

「いや、宇山はあかん」

「どうしてよ」

「だって、あいつ、前にお前のこと泣かせたやん。お前を泣かせたことがある奴は無し。むしろあいつとはこれから関わらんといて欲しいぐらいやわ」

他の奴にしろ、と宮本くんが辛辣に言い放つ。

「じゃあ、鈴ちゃんかな」

「あー、伊藤な。伊藤ならいいやん」

明日にでも聞いてみよう。

きっと予定が無ければ、来てくれるだろうから。

「……そもそも、宮本くんって、試合に出るの?」

「当たり前や。レギュラーや。そもそも試合出ないなら誘わんやろ」

「そっか、レギュラーかあ」

一年生でレギュラーって、凄いことだよね?

宮本くん、噂で聞くだけあって、本当にバスケ上手なんだ。

楽しみだなあ。今思えば、ユニフォーム姿すら見たことないもんなあ。

口元を緩めた私に、「いっぱい活躍するから楽しみにしててな」と宮本くんは笑った。


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