きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
「高橋」

何も言わず、目すら合わせない私にしびれをきらし、宮本くんはもう一度私の名前を呼んだ。

「なに?」

よかった。
思ったよりもしっかりとした声が出た。

彼に気づかれないように、そっと胸をなでおろした。

「昨日、電話したんやけど」

「知らなかった」

「メッセージも送ったんやけど」

「見てない」

どちらも事実だった。

だって、今だって、昨日から電源を切ったままのスマートフォンがカバンの中に入っている。

「俺」

「あのさ」

今更何を話したいんだろう。

何を伝えたいんだろう。

……もう、これ以上、傷つけられたくないのに。

「私、昨日、『もう関わらないで』って言わなかった?」

「……それは」

「話しかけるのは用事があるときだけにしてください」

立ち上がってその場で小さく頭を下げると、彼がまだそこにいるとわかりながらも、机に上半身を突っ伏した。
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