きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
もう関わってほしくないのに。酷いことだってたくさん言われたのに。

それなのにどうしてだろう。優しくしてもらったことも、楽しかったことも、幸せだったことも、それ以上にたくさん思い出す。

なによりも、一番辛かった時、たとえその気持ちは同情とかちょっとした興味心だったとか、軽いものだったとしても、傷ついた私に気づいて傍にいてくれたのは彼だったな……。


好きだった。


また気持ちは伝えられずに恋は終わってしまったけれど、本当に好きだった。

意地悪にみえて、本当は相手の気持ちをすごく汲み取ってくれるところも。
自分の時間を犠牲にしてまでも、慰めてくれるところも。
部活で大変なはずなのに、気にかけてくれて、一緒に遊びに行く時間を作ってくれるところも。
いつもヘラヘラしているのに、バスケになると人が変わったように真剣になるかっこいいところも。
時折見せてくれた、柔らかな笑顔と優しい低めの声も。

全てが、大好きだった。


きっと夢を見ていたんだ。

相手はバスケで全国に名を馳せるほど有名な人で、女子からも常に騒がれるような人だ。
そんな人と何度も話すことが出来たなんて、今考えれば信じられないようなことだった。
もう見ることの出来ないただの夢だったと思えば、この苦しい現実も、いつかはほろ苦い思い出に出来る気がした。
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