きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
ピンポーン……

久しぶりに押したインターフォンのチャイムの音が耳に届くと、心臓がドクン、と大きな音を立てた気がした。

早く会いたいな。今日は何を話そう。
やっぱりちょっとだけ緊張しちゃうな。一緒に学校へ行くのは久しぶりだから。

色々な気持ちが身体中を駆け巡るのを感じていると、目の前のドアから一人の男子高校生がいかにも眠たそうな様子で出てくる。

挨拶をするよりも前にあまりにも大きなあくびをする彼を見て、思わずクスッと笑ってしまう。

その行動が、あまりにも彼らしかったから。

「おはよ、悠斗(はると)

「おう、おはよ」

宇山悠斗(うやまはると)

私の幼馴染でもあり、同じ学校に通う同級生でもあり、なんならクラスメイトでもある。

「眠たそうだね?」

髪の毛には寝ぐせが付いている。

きっと、ギリギリに起きたんだろうな。

「昨日まで合宿だったからな」

「そうだよね、お疲れ様でした」

高校生になってから初めての長期休暇。

寝るか、同じ中学校に通っていた地元の友達と遊び呆けるか、という決して褒められたものではない生活を送っていた私とは違い、悠斗は入部したばかりの高校のサッカー部の合宿に参加していた。

「合宿、どうだった?」

悠斗と肩を並べながら駅へ向かう。

一緒に登校するのはいつぶりだろう。
確か入学式の後、数日間は一緒に登校していたけれど……それ以来かな?

小学生の頃は、当たり前のように毎日一緒に学校へ行っていた。

けれど中学生になって悠斗がサッカー部に入部すると、一緒に登校する回数がガクンと減ってしまった。
サッカー部は、ほぼ毎日朝練があったから。
そしてそれは今でも同じで、高校でもサッカーを続けている悠斗は、毎日私よりもずっと早い時間に先に学校へ行っている。

だから悠斗と一緒に学校へ行くことが出来るのは、今やとっても貴重なことになった。

「結構きつかった。けど、楽しかった」

「そっか。ひたすら練習?」

「まあな。練習して、筋トレして、飯食って、寝て、の繰り返しって感じ」

……大変そう。
運動があまり得意じゃない私なら、きっと一日持たずギブアップだろうな……。

想像しただけで顔をしかめてしまった私を見て、悠斗はフッと笑った。
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