きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
「それにね、今日の放課後は鈴ちゃんと話す約束をしているんだ」

「鈴ちゃん……あ、伊藤か」

険しい顔をしてから、「閃いた!」とでもいうかのように、目と口を少しだけ大きく開ける。

コロコロ変わる表情が面白くて、思わず笑みが溢れる。

「うん、そう、伊藤鈴ちゃん」

同じクラスの鈴ちゃんは入学式で隣に座ったことをきっかけに、高校生になって初めて仲良くなった友達だった。

可愛くて幼く見られることが多いらしい彼女は、人懐っこい性格で、初めて会った時から気さくに話しかけてくれた。

そんな彼女につられて、普段なら少し人見知りをしてしまう私までも、出会って数日後にはあっさりと心を開いて、今や何でも話せる大親友になった。

「鈴ちゃん、同じ中学校に通っていた人と付き合っているんだけど、ゴールデンウィークに初めてデートしたの。今日はその話、聞かせてもらうんだ」

「ふうん」

いかにも“興味がありません”ということを示す、たった3文字の返事。

けれど、私は知っている。

「そういえば『デートで遊園地に行く』って、言っていたな」

ほら、やっぱり。

全く関心がないようにみせかけておいて、本当はしっかりと私の話を聞いてくれている。

……こういうところ、もう、本当に。
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