きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
「どうしたの、それ」

「ん。まあ、誕生日プレゼント」

「え、私に?」

「当たり前だろ」

慌てて紅茶を置いて、プレゼントに手を伸ばす。

「今あけてもいい?」

「おう」

返事を聞くや否や、ラッピング袋を開く。

早く見たいような、でもゆっくり丁寧にあけたいような、矛盾した気持ちを心に抱えながら袋の中を覗く。

「これ……」

「この前、『欲しい』って言っていただろ」

スケルトンのクリアケースの内側に、ゴールドのグリッターが入っているスマホケース。

二週間くらい前、駅にある雑貨屋さんのショーウィンドウに並んでいるのを見て、一目惚れしたのだった。

動かすたびにゆらゆら動くグリッターが可愛くて、手にとって見れば見るほど欲しくなった。

でも、何もない日に一目惚れで買うにはちょっと高くて、さんざん悩んだ挙句「今のスマホケースでも不便していないから……」と諦めたのだった。

「覚えてくれてたの?」

「まあ、かなり悩んでいたからな」

「悠斗……」

ああ、悠斗のこういうところ。もう本当に。

言いたい言葉を、もう言えなくなってしまった言葉をグッと飲み込んで、口角をあげる。

「ありがとう。嬉しい。本当に欲しかったから」

「喜んでくれたならよかった」

柔らかな彼の笑顔を見て、幸せを感じると同時に、少しだけ泣きたくなった。


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