きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
「もう、諦められなくなっちゃうじゃんか……」

はあ、と息をついた時、「なにため息ついてんねん」という声が頭上から降ってきた。

「え? 宮本くん?」

「おう、宮本くんやで」

てっきりジャージで現れるかと思っていた彼は、私服で身を包んでいた。

真っ白なTシャツに、黒いズボン。

「部活終わりだから、部活のジャージで来るのかと思ってた」

「アホ、お前が私服やのに俺だけジャージっていうわけにはいかんやろ。さすがにちょっとは気遣うわ」

「ありがとう。宮本くん、私服だといつもより大人っぽいね」

シンプルな服装が、彼に落ち着きを与えている。

「そう? かっこいい?」

「あー、うん、かっこいいよ」

適当に流すと彼は一瞬黙った後、「あれ?」と私の手元を見た。

「スマホケース、変えたん?」

「あー、うん。変えた」

彼の目の前でスマホケースを掲げると、中のグリッターがキラキラと揺れる。

「かわいいでしょ」

「……もしかして、もらったん?」

「え?」

「宇山にもらった?」

「え、まあ、うん。よくわかったね」

「そりゃわかるわ。お前、わかりやすいからな」

宮本くんは、ふーっと長く息を吐き出すと、「宇山か」と呟く。

「何? 悠斗がどうかした?」

「いや。別に。ほら。もう行くで」

「うん?」

少し前を行く宮本くんを早足で追いかけた。
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