きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
「ありがとう」

「別に」

ホームに降りると、悠斗の手が私から離れる。

いつもは大嫌いなこの時間。

けれど今日はこの時間が終わってしまったことが寂しい。

今日だけはもう少しこの時間が続いて欲しかったと思う私は、彼への想いがやっぱり重すぎるんだろうな。


「この時間の電車、結構混むんだな」

「うん、毎日こんな感じ」

きっといつも悠斗が朝練に間に合うように乗っている電車には、これほど多くの人はいないんだろうな。

「大丈夫か?」

「なにが??」

急に投げかけられた質問の内容がわからず、私は首を傾ける。

「毎日大変だろ、通学」

「ああ、うん、まあね」

心配してくれているのかな。

悠斗は何気なく発したんだろうけど、気遣ってくれる言葉がとても嬉しい。

「いつかは満員電車にも慣れるのかなあ」

「どうなんだろうな」

改札を出て学校へ続く道を歩く。

するとすぐに、後ろから、同じ制服を着た男子集団が私たちを追い抜いた。

「そういえば悠斗って」

「ん?」

隣に立つ彼を見上げると、バチッと目が合う。

「……ううん、やっぱりなんでもない」

「なんだよ」

悠斗、一人の時は歩くのはやいのに。
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