甘やかし婚   ~失恋当日、極上御曹司に求愛されました~
「沙也はそのままでいいって意味よ。そうそう、今度カフェレストランの現地視察があるから同行よろしくね。課長にも伝えてあるから」


「視察って……もう完成しているの?」


「外構工事はまだだけど、ほぼ出来上がっているの。料理教室で追加工事が必要な箇所や設備等はないか問い合わせがあってね」


「そんなところまでうちが関わるの?」


細かい点に驚く。


「私もこういったケースは初めてよ。でもせっかくだから伺いたいの。いい経験になるし、イメージもつきやすいでしょ」


「もっとほかにいい提案ができる可能性もあるものね」


「そうなの。でも飯野グループがまだあきらめていなくて、厄介なの。提案は自由だしね」


渋面を浮かべる親友と今後の仕事の話をして、午後の業務に戻った。

一日の仕事を終え、スマートフォンを確認すると、退勤前に連絡を入れるよう郁さんからメッセージが届いていたので、従った。

するとしばらくして着信があり、もう少しでこちらに着くと言われた。

昨日もそうだったが、私の退勤時間の予想が的中しすぎだ。

指定された、会社からほど近い場所に向かうと、濃紺の車体の傍に立つ郁さんがいた。

近くを通り過ぎる人たちがチラチラと彼に熱い視線を投げかけている。

今朝も目にした、車体の色と同色の濃紺のスーツがとてもよく似合っている。
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