甘やかし婚   ~失恋当日、極上御曹司に求愛されました~
「私はなにか起こった際にはいつも自分を責めていました。反省というより、何事も仕方ないとあきらめて逃げ道を作ってばかりいました」


いつもどこか後ろ向きで、終わった事象に気を取られてばかりで、今後どうすれば最善策をとれるのかを考えようとしなかった。


「主張もできないのに、強くて自信に満ちあふれた人を羨ましがってばかりでした……郁さんはそんな私の欠点を真っ向から指摘しました」


「ハハッ、確かにね」


ふたりきりになって初めて、風間さんが表情を崩した。

重めの雰囲気が少し和らぐ。


「郁さんの、自分の仕事に責任をもち、どんなときも相手をきちんと見ているところを尊敬しています。付き合う相手に不自由しない、軽いだけの人ではないと知りました……あんな風に強く素敵な人になりたいと願いました」


厳しい指摘はしても、郁さんは私が心底嫌がるような振る舞いは決してしない。

秀麗な面差しや飛びぬけた有能さはもちろん魅力的だが、それ以上にあの人の考え方、振る舞いに惹かれた。

契約や利益とか関係なくこの人に近づきたい。

ただ強く願った。

私のたどたどしい説明に、風間さんはなぜか満足そうに頬を緩めた。


「……郁に言いくるめられて押し切られたと思っていたけど違ったようだね。郁が強引すぎた気がして心配だったけど、沙也ちゃんが郁を好きになってくれてよかった」
< 113 / 190 >

この作品をシェア

pagetop