甘やかし婚   ~失恋当日、極上御曹司に求愛されました~
「ごめんね、いつまでも気を遣わせて」


「なに言ってるの、親友を守るのは当り前よ」


「そうですよ。私ならそんな俺様思考の男なんて、話し合いもせずに別れますよ」


後輩が遠慮なく言い切る。

うまく自分の気持ちを言葉にできず、周りの目ばかりを気にしがちな私とは大違いだ。


「堂島のことは綺麗さっぱり忘れて、佐多と付き合ったら?」


「なによ、いきなり」


「名案ですね。佐多さんは沙也さんにいつも優しいですし、お似合いです。佐多さんファンの私ですが、沙也さんなら許せます」


明るく便乗する後輩に頭痛を覚える。


「ふたりともからかわないで。もう恋愛はしばらく結構。私には不向きなの」


「たまたま相手が悪くてこじれただけでしょ」


塔子が呆れたように口にする。


「そうですよ。よかったら私と今度婚活パーティーに行きませんか?」


「由衣ちゃん、婚活パーティーに行くの?」


彼氏募集中の同期が興味津々に尋ねる。


「はい、篠崎さんもいかがですか?」


「――ちょっと課長に見られてるわよ」


上司の視線が気になり窘めると、ふたりが顔を見合わす。


「じゃあそろそろ昨日連絡をもらった新商品のポスターを持って戻るわ」


塔子の言葉にうなずき、後輩とともに総務課奥のストック棚に向かう。

課長の厳しい視線から少し逃れ、ホッとする。
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