甘やかし婚   ~失恋当日、極上御曹司に求愛されました~
「……響谷さんがここのオーナーなんですか?」


「ええ。個人的に所有されていて、俺は雇われ店長なんです」


「元々オーナーのお祖母様が趣味で喫茶店を経営されていたんです。ただ、ご高齢になりご自身で切り盛りされるのが難しくなられて、譲られたそうです」


風間さんは淡々と店の歴史について教えてくれる。


「とはいえ、先代と違って自身が店舗に立つ時間がないオーナーが、ちょうどカフェを始めようとしていた俺に声をかけてくださったんですよ」


「そうだったんですか。風間さんは響谷副社長の信頼が厚いんですね。私、こちらのカフェオレが大好きです」


「ありがとうございます。倉戸さんには開店以来ずっと足繁く通っていただいていますが、これほどお話したのは初めてですね」


風間さんが快活に口にする。

確かに私は何度も来店しているので、風間さんやほかの店員の顔も覚えている。

カフェオレチケットも購入しているし、言葉を交わしたことももちろんあるので、私の名前や勤務先を風間さんは知っている。


長身で、少し垂れ目の二重が特徴の風間さんは女性客に人気がある。

響谷副社長とは少し雰囲気の違うイケメンで、先ほどのようにふたりが並ぶと迫力がある。

風間さんと響谷副社長は高校時代からの友人で、その縁もありこの店を任されたという。

その後先代と響谷さんと相談し、現在のカフェをオープンさせたそうだ。

ただの来店客の私にそんな詳細な情報を教えて大丈夫なのかと確認すると、驚いたように目を丸くされた。
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