甘やかし婚 ~失恋当日、極上御曹司に求愛されました~
「はい、午後一番で横浜の取引先に佐多さんと向かっていたらしいです」
“副社長”違いで誤解している後輩の説明を訂正する余裕もなく、聞き流す。
目の前にはこれから取り掛からなければいけない仕事が山積みなのに、手が動かない。
「滅多にお目にかかれない王子様の来訪に女性社員は皆ソワソワしているんですよ。婚約報道があったばかりなのにやはりすごい人気ですね」
由衣ちゃんが肩を竦める。
なにか問題が起きたのだろうか?
いや、結婚を決めたばかりの私のために、あんな多忙な人がわざわざ来社するとは考えにくい。
「沙也!」
考え込んでいると、大声で背後から親友に名前を呼ばれ、肩がビクリと跳ねた。
「一緒に来て、藤川課長には許可をいただいているから」
「どうしたの、急に」
「いいから、早く!」
珍しく焦った様子の親友を訝しみながらも立ち上がる。
後輩に仕事の引継ぎをして、フロアを出た。
「塔子、なにがあったの?」
「響谷副社長が来社したのは聞いた?」
足早に廊下を歩く親友にうなずくと、彼女は眉間に皺を寄せた。
「来社目的は知ってる?」
「……佐多くんが手がけている新事業の件じゃないの?」
「それはあくまでも表向き。本当の目的は沙也、あなたよ」
「え?」
思わず間抜けな声が漏れた私に構いもせず、塔子は急いで階段を上る。
“副社長”違いで誤解している後輩の説明を訂正する余裕もなく、聞き流す。
目の前にはこれから取り掛からなければいけない仕事が山積みなのに、手が動かない。
「滅多にお目にかかれない王子様の来訪に女性社員は皆ソワソワしているんですよ。婚約報道があったばかりなのにやはりすごい人気ですね」
由衣ちゃんが肩を竦める。
なにか問題が起きたのだろうか?
いや、結婚を決めたばかりの私のために、あんな多忙な人がわざわざ来社するとは考えにくい。
「沙也!」
考え込んでいると、大声で背後から親友に名前を呼ばれ、肩がビクリと跳ねた。
「一緒に来て、藤川課長には許可をいただいているから」
「どうしたの、急に」
「いいから、早く!」
珍しく焦った様子の親友を訝しみながらも立ち上がる。
後輩に仕事の引継ぎをして、フロアを出た。
「塔子、なにがあったの?」
「響谷副社長が来社したのは聞いた?」
足早に廊下を歩く親友にうなずくと、彼女は眉間に皺を寄せた。
「来社目的は知ってる?」
「……佐多くんが手がけている新事業の件じゃないの?」
「それはあくまでも表向き。本当の目的は沙也、あなたよ」
「え?」
思わず間抜けな声が漏れた私に構いもせず、塔子は急いで階段を上る。