黒猫とばぁちゃん【短編】
それから僕は、ばぁちゃんの家に行き来するようになりました。

僕が庭に行くと、ばぁちゃんはすぐに窓を開けて
「クロや。よく来たね」
と言って部屋の中に入れてくれました。
そして、ミルクとササミと柔らかい毛布を用意してくれました。



僕は、物心着いた頃から野良猫として生きてきたのです。

ママがいたのか人間に捨てられたのか、それさえもよく覚えていません。
ただ人間は怖くて、あまり近付けませんでした。中には親切にご飯をくれたりする人もいましたが、いつも人が離れた後にコッソリご飯にありついていました。


でも、ばぁちゃんは違いました。

僕にとって初めて気を許せる安心できた人間でした。


ニャ~。
なんでかな。
僕、ばぁちゃんのこと怖くないよ。
ばぁちゃん、僕、ここにいてもいいかなぁ。



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