本気の恋を、教えてやるよ。
*º慶太side.
別に後悔はしていない。していないけども。
「やっぱり惜しかったな……」
ベッドに背中から寝転がり、手のひらを天井に向けて空を掴んだ。
今さっきまで茉莉の居たベッドには、まだ彼女の残り香と温もりが残っていて、堪らない気持ちになる。
茉莉の背中を押したことを後悔はしていない。
茉莉が俺の傍に居てくれることを選んでくれた時、本当に本当に嬉しくて──申し訳なくなった。
傍に居る。そう言った茉莉の瞳に恋心は見られなかったから。
それを分かっていて、まだ心の中に他の男が居ることに気付いていながら、俺は気付かないフリをした。
あの時は本当に参ってたんだ。
茉莉の傍に自分が居るだけで悪影響だと思い知らされたから、酷い言い方をしてまで手放したのに、いざ離れてみるとすぐに耐えられなくなった。
茉莉が駒澤に笑いかけてる姿を見るだけで、苦しくて。