本気の恋を、教えてやるよ。



「……ほんと、夢みたいだ」


ぽつりと掠れた声が落ちた。


「ずっとアンタのこと好きだったから……でも、こんな時に言うの自分でも女々しいと思うけど、アンタの初めてが俺だったら良かったのに、って思う」

「楽斗……」


今ではもう、慶太と付き合ったことを後悔していないし、大事な思い出になっている。


でも、でもね。

私も初めては、楽斗にあげたかったよ。


ごめんね、と言葉が出かけたのを飲み込む。

そんな言葉、慶太にも楽斗にも失礼だ。でも、なんて言ったらいいのか分からなくて。


私は、楽斗の頭を抱え込むように抱き締め返した。


「これからと最後は、楽斗にあげる」


ずっと、ずっと。

私の全部、楽斗のものだよ。


楽斗は暫く黙っていたけど、やがて、ふ、と小さく息を零した。


「……そんな簡単に言って、後悔してもしらね〜ら」


からかうように、でもどこか切なさを含んだその言葉に、後悔なんてしない、と言い返そうとした声を唇ごと奪われる。





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