本気の恋を、教えてやるよ。



カーテンの隙間から射し込む光を背負い、美しく微笑む綺麗な顔。

こちらを優しく見つめる楽斗に眠気が吹っ飛んだ。


「お、おはよう!」

「はよ」


どうやら眠っている間、私の頭を撫でていたらしい楽斗の指が、名残惜し気に前髪から離れていく。


ずっと寝顔みられてたのかな……と恥ずかしくなっていると、楽斗が体を起こし、サイドテーブルからペットボトルの水に手を伸ばす。


そのままキャップを開けた状態で手渡され、お礼を言ったところで「身体は平気?」と訊かれ、思わず水を零しそうになる。


「う、うん、平気!」

「そっか。良かった。最後の方、手加減できなかったから」

「……」


恥ずかしいので、もう何も言わないでほしい……。


顔を赤くしたままちびちびと水を口にしていると、楽斗がわずかに目を伏せた。


「あのさ」

「うん?」

「……情けないこと言ってごめんな」


その言葉に顔を上げると、楽斗は眉を下げて困ったように笑っている。



< 390 / 392 >

この作品をシェア

pagetop