本気の恋を、教えてやるよ。
妻夫木は俺が渡したファイルを見ながら何かを打ち込んだ後、真剣な眼差しで俺を見上げた。
「……見た」
俺が頷くと、妻夫木が目を見開く。
「どこの会議室入ったとかも、わかったりする?」
「わかるけど……」
「ちょっと、それどこか教えて……」
俺の言葉に視線を鋭くした妻夫木が、ガタリと立ち上がり、俺に迫ろうとした時。
「妻夫木さーん、保留一番に、M商事さんから!」
別のところからそんな声が飛んできて、妻夫木は眉間に皺を寄せた。
「もう!タイミング悪いわね……」
そう小さく悪態ついた妻夫木は、俺に視線を戻して、「お願いがあるの!」と俺の手を握った。
「わけわかんないと思うけど、ちょっとその会議室の様子見てきてくれない!?何も無ければ何も無いでいいし、なんか言われたら私の名前使ってくれてもいいから!」
本当に脈絡のないお願いだな、と内心苦笑しつつ、個人的に俺も気になってたので頷く。