本気の恋を、教えてやるよ。




心配してくれたのに、隠すのは良くなかったな。何もされてないって言ったら嘘になるし。


でも、「大丈夫だった?」と聞かれていたら、迷わず私は頷いてしまうだろうけど。


私は改めて、心配半分、怒り半分、といった表情の梓ちゃんを見て、ぺこりと頭を下げた。


「梓ちゃん、ごめんなさい。……ちょっとだけ、頬を叩かれちゃったんだよね」


そんな私に梓ちゃんは目をうるませて、ガバッと横から抱きついてくる。


「こっちこそごめんね、助けられなくて……!」

「助けるなんて、大袈裟だよ」


梓ちゃんは何も悪くないから。


梓ちゃんの背中をぽんぽんと宥めるように叩いていると、不意に駒澤くんと目が合う。


「……駒澤くんも、今日は本当にありがとう。すごく助かった」


ほとんど初対面なのに、色々してもらっちゃって……。


すると、駒澤くんはそんな私に小さく笑みをこぼしてみせて。




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