愛しのフェイクディスタンス
過去の自分の頑張りだけれど、振り返るとどうしても恥ずかしさが勝る。赤くなる顔を隠すよう両手で覆うと、首筋を雅人の舌がゆっくりと這うのがわかった。
「……っ、ま、まーくん」
「忘れられるわけないだろ」
はじめに借りた服がワンピースだったことが災いした。とっくに素肌を隠せる布地を腰のあたりまで落とされて、下着だって、腹が立つほど慣れた手つきで剥ぎ取られてゆく。
「慣れすぎてて、やだ」
優奈の抗議に、やんわりと首を振る。
「俺だって、お前のこんな姿を他にも知っている男がいるのかと思うと……殺してやりたくなるな」
ゾッとする声は、冗談に聞こえない。
「怖いか? だったら」
吐息とともに、優奈の耳に雅人の声が届く。
掠れたそれは背筋に響き、身を震わせた。
「そんな気持ちを忘れるくらい、お前のことを抱かせてくれ。他のどの男より、俺がお前を知っていると……安心させてくれ」
その言葉を最後に、会話らしい会話はなくなった。それでも、余裕なく乱れる息づかいは優奈をこれでもかと安堵させたし、逞しい身体に包まれる幸せは涙を誘う。
時折りその雫を拭い「辛いか?」と気遣う声に首を横に振っては、次の瞬間には広い部屋に響く自分の恥ずかしい声。
幾度と互いに絶頂を迎えながらも、まだ夜は明けないとばかりに重なり合う身体。
ほんの少しだって離れてしまうことを拒むように繋がり続けた。これまでの距離を埋めるように。