愛しのフェイクディスタンス
実家に帰るのは、嫌だった。大好きな両親に心配を掛けたくはないし、プライドもあったかもしれない。
両親はいまだに雅人と仲良くしているからだ。
今は取り壊された雅人の実家。
それでも優奈の両親に会うために時々地元を訪れていることを知っていたから。
(だから、親に頼るイコール、あの人にパッとしない今の自分を知られてしまうことになるんだよね……)
ぼんやり考え込んでいると、目の前のモニターが歪んだ。
違う。優奈の目に涙が溜まっているのだ。ひとつ瞬きをしたなら、ポロポロと大きな雫が優奈の服に落ちて滲んだ。
(でも会っちゃったじゃん……)
取り繕って隠しても、嘘なんてつき通せない。
”どうしたらいいのかわからない”って、本当はわかっている。でも自信がなかった。
就活中、何人もの友人が希望した会社の内定をもらっては『おめでとう』と笑顔で祝う。
どこにも必要とされていないかのように、そうはならない自分。
だからここを焦って決めたのは事実だが、それにしても。こんな場所でしか働けない優奈は、その程度の人間で。何か行動を起こそうとしても、足がすくんで動けない。
キツイ言葉に、腹は立っても反論できない。
雅人との再会でより濃くなった、自分への嫌悪感。
大人になったらどこにでも行ける気がしていたのに。