愛しのフェイクディスタンス
出会いは十五歳の高校一年生と五歳の幼女だ。
ロリコンの気があるのかと本気でビビっていたけれど、断じて性的欲求は当時持っていなかった。ことだけは言い切っておきたい。
何度優奈に告白されても、小さな妹の言うことだと聞き流していたことも事実で、性的興奮はきちんと同年代の女に抱き発散できていた。
決定的に、確実に。
それが揺らいだのは、あの時だ。
優奈が十八の時。
高校卒業間近。
(俺はもう会社を立ち上げて、忙しくなってきてた時期だったな)
それでも、どうにか時間を作って優奈の実家には足を運び続けていた。もうそこに自分の家はないというのに、当たり前のように優奈との時間を求めていたこと。疑問にも思わないことを、疑問に思うべきだった。
あの日は、卒業式当日はあいにく仕事で祝ってやれそうにないからと。
優奈の部屋を訪れ、少し早めの卒業祝いをして、そして聞き慣れた言葉を告げられた。
『まーくんが好き』
いつも通り聞き流して、"可愛い妹"とこのままの関係を続けていくはずだった。だが、その日の優奈は拗ねたように口を尖らせるでも、酷いよと泣き出すでもなく。
『待って、まだ断らないで!』
下校したまま着替えていなかった、制服のブレザーを脱ぎ捨てた。
ふっくらとした優奈の形のいい唇がやけに艶やかに、窓から射し込む夕陽に照らされている。
『友達にも言われたし私もわかってるの。まーくんもう二十八でしょ。そろそろほんとに誰かのものになっちゃう、結婚とかしちゃうかもしれない』
『だから、だから私も今日は本気で、諦めたくないの』
そう言って、油断していた雅人をベットへ思い切り突き飛ばした。
その勢いのまま雅人の身体に跨り、顔を赤くしながら、震えながら。
『ほ、他の女の人にしてるみたいに私も抱いてよ、まーくん』
『そしたら、妹以外に見えたりしないかなぁ!?』
制服のリボンを取って、ゆっくりと外されていくシャツのボタン。下着さえも脱ぎ捨て、跨る優奈が雅人の目に映った。
揺れる白く柔らかそうな膨らみに、この舌を這わせたい。
確かにそう思った。
優奈が恥じらうように身体をくねらせるたび、熱を持つ箇所に擦り付けられる、秘部は。
雅人の手が、隔てる布一枚を剥ぎ取ってしまえば容易にその中へと汚らわしい欲望を捩じ込み貫けてしまう。
嫌悪でいっぱいの建前とは相反し、喉が鳴った。
触れて、乱雑に全てを剥がし、口づけ快楽を得る己を想像してしまったから。
女だと気がついた瞬間。
いや、違う。知っていて目を逸らしていたものが目の前に突きつけられた瞬間だった。