愛しのフェイクディスタンス
元々一緒に住むことにはなったが、基本的に生活はバラバラになると雅人には言われていた。
そのため食事ももちろん別々になる。
当面は『身体を休めるためにもマンションのコンシェルジュにデリバリーでも頼んでおくんだ』
……などと優奈に平気な顔をして言ってくる訳なのだが。
(無理無理。自分で作るし、コンシェルジュって何よ、頼み方さっぱりわかんない)
優奈は出勤前や帰宅時にコーヒーを飲むだけ、もしくは栄養が取れるっぽい感じのシリアルバーをかじるだけの雅人を思い出しながら預かった鍵できちんと施錠して家を出た。
明日が引っ越しの立ち会いのため、今日は夕方頃までアパートの掃除をしていた。
おかげで今は夕飯時。
冬から春に移ろいで、陽は多少長くなったが、一九時を過ぎればさすがに外はすっかり暗くなっていた。
徒歩で二十分程だったろうか?
オフィス街はすぐ近くだが、こういった買い物は少し不便な雅人の住むマンション。
たどり着いたスーパーで、ついつい惣菜に目がいってしまう。
(いやいや、惣菜買って帰るとか振り向かせる気あるのか! ねえ私!?)
やる気と、女らしさのない自分に驚愕しつつ。気を取り直し、食材を選ぶために、ゆっくりと店内を見てまわった。