無理、俺にして

***

「……」

「およ」


昼休みが始まってもう30分がすぎるところ。

鬼役として校内を走り回って、いくら折原くんを探しても見つからなくて。

さすがにお昼ご飯を食べないわけにも行かず、大人しくお弁当を持って屋上にきた。


……ら。


「いた!! 折原くんいた!!」

「!!?」


大の字になっていた折原くんは私の突然の大声に驚き、飛び起きた。


「ちょ、待、しーっ、しーっ!!」

「んぐ!!」


鬼役に見つからないようにするためか、私の口を必死に塞いでくる。


「んー!! んんーっ!!」


離してよ!!


「大声出さないって約束するなら離してやらん」


こくこくとうなずいてみせる。


「こともない」

「んん!!!」


ちょっと!!

からかってないで早く離してよ!!

さっきより怒気を込めて唸れば、折原くんはため息交じりでハイハイと手を離してくれた。


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