たとえ9回生まれ変わっても




家に帰って、まずは冷えた体を温めるために熱いお茶を飲んだ。お風呂に入って、ほう、と息をつく。

楽しかったな。

思い出すと、自然と頬が緩む。
紫央にプレゼントを渡して、温かい店でおいしい料理を食べて。

いままででいちばん幸せなクリスマスだった。
来年もこんな風に過ごせたらいい。

1年後のことなんて、全然想像もつかないけれど。

ーー紫央はいつまでいるの?

ずっと聞きたかったこと。
紫央のこと。
紫央が考えていること。
どこからやってきて、どこへ行くのか。
わたしは紫央のことを、何も知らない。

踏み込むのが怖くて聞かなかった。
これから、少しずつでも聞けるだろうか。
紫央のことを、もっと知れるだろうか。

知りたい、と思う。
少しずつでも知ることができたら、もっと近づけるような気がする。

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