たとえ9回生まれ変わっても
◯
家に帰って、まずは冷えた体を温めるために熱いお茶を飲んだ。お風呂に入って、ほう、と息をつく。
楽しかったな。
思い出すと、自然と頬が緩む。
紫央にプレゼントを渡して、温かい店でおいしい料理を食べて。
いままででいちばん幸せなクリスマスだった。
来年もこんな風に過ごせたらいい。
1年後のことなんて、全然想像もつかないけれど。
ーー紫央はいつまでいるの?
ずっと聞きたかったこと。
紫央のこと。
紫央が考えていること。
どこからやってきて、どこへ行くのか。
わたしは紫央のことを、何も知らない。
踏み込むのが怖くて聞かなかった。
これから、少しずつでも聞けるだろうか。
紫央のことを、もっと知れるだろうか。
知りたい、と思う。
少しずつでも知ることができたら、もっと近づけるような気がする。