たとえ9回生まれ変わっても


野菜を切って、鍋で煮込む。
シチューの素を割り入れて、牛乳をたっぷりと注ぐ。

「…………」

ぐつぐつと鍋が音をたてる横で、紫央がいてもたってもいられないように、うろちょろと歩き回る。

……落ち着かない。

「ええと、もうすぐできるから、座って待っててくれる?」

「はぁい」

「……」

年齢も、背丈もわたしと同じくらいなのに、なんだか小さな男の子を相手にしているみたいだ。

店番をしているときはちょっと頼もしく思えたけれど、さっきは余裕がなかったからそう思えただけに違いない。

出来上がったシチューと食パンをお皿に乗せて、テーブルに運んだ。

2人向かいあって、いただきます、と手を合わせて食べる。

「おいしい! すごい、おいしいよ!」

「そ、そうかな」

レシピ通りの工夫も何もないシチューだけれど、そんなに絶賛されると照れてしまう。



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