たとえ9回生まれ変わっても


「ま、気分がよくなるまで休んでいくといいわ。わたしはここにいるから、何かあったら声をかけてね」

「はい。ありがとうございます」

水色のカーテンを閉めて、ベッドに横になる。

痛みがほんの少し楽になった。

気分的な問題なのだと思う。

春にもお腹が痛くて保健室に来た。
あのときはひとりで来たけれど、あのときと何も変わっていない。

むしろ人に助けてもらってばかりで、申し訳ない思いばかりが募る。

窓から入る日差しが暖かい。
目を閉じてすぐに、わたしは眠りに落ちた。

また夢を見た。
いつもと同じシオの夢だ。
シオはわたしの腕の中にいた。

温かい。
ずっと抱きしめていたい。

だけどそれは叶わない。
シオはいつものようにわたしの手をすり抜けて、どこかへ行ってしまう。

追いかければ届く距離なのに、わたしは追いかけることができない。

ーー待って。置いてかないで。

目が覚めると、わたしは泣いていた。

もう何度も見た夢。

わたしはいつまで泣いているんだろう。
ずっと、同じ夢を見続けるんだろうか。
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