たとえ9回生まれ変わっても
声が聞こえる。
なんだか、外のほうが騒がしい。
カーテンを開けると、先生が振り向いて微笑んだ。
「よく寝てたわね」
時計を見ると、3時半。
もう下校時間だ。
「あの子、うちの学校の子じゃないわよねえ」
先生が窓の外を見下ろしながら言う。
「え?」
「ほら、校門の前にいる男の子。やけに騒がれてるけど。彼女でも迎えに来たのかしら」
私も窓の外を見て、目が釘付けになった。
「たまにあるわよねえ。イケメンが彼女を迎えに来てキャーキャー言われるやつ。あたしも学生の頃憧れたわあー。まあねえ、そんな少女漫画的展開はそうそう……森川さん?」
「ありがとうございました、失礼しますっ!」
わたしは保健室を飛び出し、ダッシュで靴を履き替え校門に向かった。
校門の前に人だかりができている。
クリーム色の髪。青い瞳。
紫央だ。
どうして紫央が学校に……。
『言っとくけど、ついてきちゃダメだよ?』
朝、嫌な予感がしたから、ちゃんと念を押しておいたのに。
あれはフリじゃなかったんだけど!?