たとえ9回生まれ変わっても
扉が開いて、看護師さんが入ってきた。
「失礼します。お食事お持ちしましたー」
看護師さんはわたしと紫央を見て、まあ、と大きく目を見開いた。
「こんにちは」
看護師さんはわたしたちに笑いかけた。
「こんにちは」
笑顔で挨拶をする紫央の横で、わたしは小さく頭を下げた。
食事の配膳をしながら、看護師さんが首をかしげる。
「かわいらしい子たちですねえ。森川さんのお知り合いの方かしら?」
知り合い、と言う言葉に、胸がズキンと痛んだ。
「いえいえ、うちの子どもですよ」
お父さんが、ベッドのボタンを操作して背もたれを起こしながら笑顔で答えた。
「えっ……そう、なんですか。それは失礼しました」
看護師さんは驚いたようにそう言うと、配膳台を引いて、気まずそうに去って行った。