イジワルな君に、ラブレターを。


──純太こと河辺(かわべ) 純太(じゅんた)と私は、家が隣同士の幼なじみ。


赤ちゃんの頃から、私の隣にはいつも純太がいた。


幼稚園から中学3年生になった今まで、私たちはずっと一緒だった。


小学生の頃から、毎朝当たり前のようにふたりで一緒に登校していたのに。


……純太。いつもは、私が遅れても待っていてくれるのに。


今日は待っていてくれないんだなぁと、なんだか少し寂しくなった。


でも、よくよく考えてみれば当たり前か。

さっき、純太にバカって言っちゃったし。


「はぁ……っ」


……この服に袖を通すのも、あと何回だろう。


ふと、部屋にある全身鏡の前で制服に着替えながら思った。


中学入学の頃は、少し大きかった白色のセーラー服も、今ではすっかり身体に馴染むようになった。

学年ごとに違う制服のリボンの色も、赤から最高学年の紺色になっていて。


あれよあれよという間に先日、人生初の受験である高校受験も終わった。


そして今、バレンタインが過ぎた2月の半ば。

今年のバレンタインは、高校の受験日と重なってしまって、バレンタインどころではなかったけれど。


いよいよ来月で、中学卒業だ。



「行ってきまーす!」

お母さんが作っておいてくれた朝食を食べる暇もなく玄関の鍵をかけ、私が急いで家を出ると。


「……よぉ」


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