イジワルな君に、ラブレターを。
私の家の前の壁にもたれかかるようにして立っていたのは……学ラン姿の純太だった。
「若葉、遅すぎ」
「え……純太、先に行くって言ってたんじゃ……?」
「待っててやったんだよ……若葉ひとり、遅刻なんかさせられねぇし」
「えっ? 今なんて?」
『待っててやったんだよ』のあとが、声が小さくてよく聞こえなかった。
「うるせー。何でもねぇって。ほら、さっさと行くぞ」
純太が、私の手をぎゅっと握る。
純太の手、さっき私を起こしてくれたときよりも冷たくなってる。
きっと、私の部屋を出て行ってからずっと外で待っていてくれたんだろうな。
「若葉、走るぞっ!」
「うん」
寒空の下、私と純太はふたり一緒に走り出した。