イジワルな君に、ラブレターを。
キーンコーンカーンコーン……
チャイムが鳴り終わると同時に、学校の教室に入った私たち。
「ふ〜。ギリギリセーーフ!!」
「なーにがギリギリセーフだ、河辺」
『セーフ』と元気よく言った純太に、いつも赤いジャージ姿の体育教師で担任の原田 龍一先生が大声を出す。
「お前なぁ〜。たった今、チャイムが鳴り終わったんだから。遅刻だ、遅刻! 麻生もっ!!」
教卓をバン! と、思い切り叩く原田先生。
「お前らなぁ、受験が終わったからと言って、たるんでちゃダメだぞ」
ひぃー。原田先生の剣幕に、私は思わず怯んでしまう。
体育会系の原田先生は、遅刻に人一倍厳しいことで有名。
遅刻すると、グチグチと15分は説教される上に、放課後教室に残って反省文まで書かされる。
分かっていたはずなのに、やってしまった。
……ここは素直に謝らなくちゃ。
「あっ、あの、原田先生。すいませ……」