LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~
乗り込んだエレベーターは、私と奥村さん以外居なくて。
「あの、ついでだから言いますけど。
奥村さんの子供が眞山社長の子供じゃないか?という噂もあって」
そう言った瞬間。
奥村さんの顔から笑みが消えた。
「息子の父親は、眞山ではないです。
私が本当に愛した人との、子供です」
なんだか、そう言いきられて。
そんな噂を少し間に受けた自分を、恥じてしまった。
先程、昔奥村さんと眞山社長が付き合っていたと聞いて、
余計に、その噂は本当なのでは?と思ってしまった。
「そういえば、お子さん中学生なんですよね?
奥村さん、凄く若く見えるから、本当にそんな大きな子が居るなんて信じられないです。
きっと、お子さん可愛いんでしょうね」
「小さい頃は可愛かったんですけどね。
息子も、もう中学一年生で。
ちょっと反抗期なのか、こないだ、初めて息子に"お前"って言われて。
その感じが、息子の父親にソックリで。
なんだか、それが嬉しくて泣いたら、勘違いして必死に私を慰めて来て」
そう笑う奥村さんに釣られて、笑ってしまう。
なんとなく、だけど。
その息子さんの父親は、もうこの世に居ないのかもしれない。
さすがに、それは訊けないけど。
「息子、父親には顔は全然似てないんですけど。
ほんのちょっとした所があの人に似ていて。
血が繋がっているって、不思議ですよね?」
そう何かを訴えるように問いかけられて。
ちょっと、それに戸惑いながら頷いた。
「そういえば、昔、奥村さんにアプローチしていた男性社員が行方不明になってるって聞きましたけど、本当ですか?
眞山社長がヤクザを使ってその男性社員を消したって」
「それは、眞山は関係ないですよ」
そう否定されたけど。
眞山社長は関係ないと否定しただけだと、かなり後になってから気付いた。