LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~
今から、それは18年くらい前だろうか。


この人と、初めて会った時。


私はまだ保育園に通っているような年齢だから、記憶は曖昧だけど。


通っている保育園が流行り病いで一時閉園になった時。


母親に連れられて来た、Yホテルの大宴会場で行われたNANTENスクエア主催のパーティー。


私は連れては行かれたけど、そのパーティーに出席出来る事はなく。


同じフロアの、会社が控え室として押さえている小さな宴会場で、数時間待機をさせられた。


「千花、お母さんお仕事だから、少しの間ここで大人しくしといてね」


そう言って、母親が出て行った後。



私は持って来ていたぬり絵の本と、色鉛筆を取り出し、それで遊んでいた。


控え室だと言っても、パーティーの始まった今、人の出入りのない部屋。


ぬり絵に飽きて来た頃、無性に寂しくなった。


そんな時、部屋の扉がノックされて、
一人の男性が入って来た。


「こんにちは」


そう言って笑うその人は、大人のようなスーツ姿ではなくて。


制服姿で。


当時、高校生だった眞山社長。


まだ幼い私には、その時の眞山社長はとても大人に見えた。



「お兄ちゃん、誰?」



「あ、俺?
俺は千花ちゃんのお母さんが秘書としてお世話になっている、おじさんの息子」


眞山社長のお父さんは、時々うちに来ていた事があるので、その存在を知っていたけど。


眞山社長のその説明が、当時の幼い私にはよく理解出来なかった事を覚えている。


おじさんって、眞山のおじさんの事?


息子って、おじさんの子供かな?
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