LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~
「千花の方は、母親と話した?
俺達の結婚の事」
そう訊かれ、いえ、と首を横に振る。
一昨日も昨日も、母親は夜遅く帰って来て、私よりも早くに出て行く。
母親の帰りが遅い事は珍しくないけど、
連日となると、私と顔を合わせるのを避けているように思う。
「向こうが何か言って来る迄、私は何も訊かない事にしました」
昔から、私と母親の間には、そういった独特な空気というか、遠慮がある。
私が母親の不倫に触れないように、
お互い、相手のあまり触れられたくないと思うような事に、極力触れない。
例をあげるなら、お互いの収入も知らないし、
母親は最近迄私に彼氏が居た事に気付いているだろうけど、
それを私に訊いて来た事はない。
「そういえば、あの時もエビマヨでした…」
テーブルの上のエビマヨから、眞山社長に視線を向けた。
あの頃はまだ高校生だったこの人。
「俺も思い出した。
あの時、エビマヨもあったね」