LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~

この結婚自体が、自分が望んだものではないし。


この人と結婚式なんてしたくないと思っているのに。


純白のウェディングドレスを前にして、
テンションがあがってしまった。



試着の時間が2時間しかないと聞いた時は、
すぐ決めるからそんなに必要ないと思っていたのに。


実際は、時間が許す限り、あれもこれもと試着をした。



「これ、どうでしょうか?」


試着室から出て来た私に、
頭から爪先迄眞山社長は一瞥すると、


「いいんだけど。
千花にはさっきの細いラインのドレスの方が似合うかもしれない。
ウェディングドレスはさっきのようなシックなものにして、
お色直しの際に、派手なデザインのドレスにしないか?」


「そうですね…」


意外に、眞山社長も私の式に着るドレスを、真剣に選んでくれている。


実は、私が選んだものを、いつもの笑顔で、いいんじゃないか、と軽く流されるだけじゃないかと思っていた。


だから、そうやって眞山社長も真剣だから、少し私も嬉しくて、色々と試着してしまう。


「もう一度、さっきのドレスを着させて下さい」


そう、コーディネーターさんにお願いした。


その後も何着も試着して、


「千花、それがいい」


試着室から出て来た私を見て、眞山社長は座っていた椅子から立ち上がった。


「そうですよね。これにします」


私もこのウェディングドレスに袖を通し、鏡に映る自分の姿を見た瞬間。


ああ、これしかないな、と思っていた。


素敵なドレスは沢山あるけど、
本当に特別に思えるものは、一つしかないものだな。

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