LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~
同居
この結婚生活は、きっと最悪だと言われるものだろう。


下には下が居るのかもしれないけど、
私の結婚生活は、普通よりも下の方だと思う。


引っ越しの日の夜は、まだ良かったのかもしれない。


綾知さんのお母さん。


つまり、お義母さん。


私の引っ越し祝いだと、夜は鰻重の出前を頼んでくれた。


実は、私は鰻が苦手だったけど、お高いそれは、今まで食べたものとは違い、
とても美味しかった。


お義父さんもこの日は朝からずっと家に居たみたいで、
夕食の際に私にビールを注いでくれたりした。


私のようなただの受付嬢が、グループの社長に酌をして貰えるなんて、本当に凄い事だと思った。


「父さん、千花に飲ませないでよ」


そう言って、綾知さんが私のグラスを奪い取り、そのビールを飲み干した。


「べつに、子供が出来たとかじゃないんだろ?」


「そうだけど。
俺達結婚してるし、もういつ子供が出来るか分からないから」


その言葉に、昨日の事を思い出して吐き気がして来た。


もしかしたら、私は昨日のあれでこのまま身籠るかもしれない。


「千花さん、顔色悪いけど、疲れたんじゃない?
昨日も今日も忙しかっただろうし。
早くお風呂に入って、ゆっくりと休んでね」


そう、お義母さんに優しく声をかけられ、はい、と頷いた。


眞山家のお風呂はとても広くて、
湯船は足を伸ばしても余るくらいで。


このバスルームの他に、この家にはシャワールームもある。


トイレなんか4つもあって。


やはり、この人達はお金持ちなんだな、と思ってしまった。


玉の輿……。


そうか。


そうだと思って、割り切ろう。



ワケアリの子供を産まないといけない事以外、
この結婚には大きな問題もない。


綾知さんも、子作り以外の部分では優しいし。


お義母さんもお義父さんも良い人だし。

< 54 / 148 >

この作品をシェア

pagetop