LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~
翌日。
引っ越しは、思っていたようにすぐに終わった。
綾知さんの家は、とても広くて洋風でモダンなデザイン。
部屋数も多そうなので、同居するのに問題はなさそう。
二階の空いていた一部屋が、私の部屋になった。
「この部屋は一応千花の部屋だけど、
寝るのは、俺の部屋だから。
その為に、ダブルベッド買ったんだよ」
その部屋は、ベッドだけではなく、家具なんてものはなく、テレビすらない。
本当に、私の荷物を置くだけの部屋。
部屋の入り口で立ちすくむ私を、綾知さんはいつかのラブホテルの時のように、背後から抱き締めて来る。
「嫌だ…」
その綾知さんの部屋のベッドで、
今日も私は…。
「心配しなくても、今夜は何もしないから。
今夜は、ね。
だって、まだ千花の体の中に倉持のものが残ってそうだから。
それは俺も、ちょっと」
そうクスクスと耳元で、笑っている。
「お風呂の場所とか、トイレの場所とか、色々と教えるから、行こう」
そっと、私を解放した。
私は足から力が抜けて、床に座り込んでしまう。
この結婚が、黒く闇しかないようなものだと、気付いた。
逃げたい…。
「千花、逃げられないから」
私の心を読んだように、綾知さんは笑う。
本当に、この人の笑顔は、私に恐怖しか与えない。