LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~
グー、と私のお腹が大きな音で鳴った。
それに驚いたように、綾知さんは私の胸元から顔をあげて、私を見ている。
「あ、あのごめんなさい」
なんで謝ってるんだろう、と思ってしまうけど。
「…アハハ。
マジ?
凄い萎えた」
私から離れてベッドに寝転び、綾知さんは笑っている。
なんだか、凄く恥ずかしい。
私はこの隙を逃さないように、
衣服を整えた。
「もしかして、千花お腹空いてるの?」
もしかしなくても、あれだけ大きな音でお腹が鳴るくらいだから、そうだろう。
「晩御飯、食べたの早かったからかな」
そうごまかすけど。
食べ物の事を考えたら、凄くお腹が空いて来た。
「もしかして、うちの母親に意地悪されてる?」
その言葉に、え、と横で寝転ぶこの人を見てしまう。
「朝、ちょっと引っ掛かったから。
朝もそうだけど、うちの母親から食べさして貰ってない?」
「よる…白いご飯だけは貰ったけど」
なんだか、綾知さんの問い掛けて来る声が優しくて。
私は、全部話してしまった。
今朝から、お義母さんが豹変したと。
それを聞き終え、
「うちの母親も、うちの父親と千花の母親の関係に、勘づいているのかも。
うちの母親、何もなくてそんな風に嫁をイビるような事は、さすがにしないと思うから」
そう言われて。
なら、私はお義母さんから見て、旦那の浮気相手の娘で。
憎い女の、娘。
「そうか」
なんだか、それなら仕方ないのか、と納得してしまった。
「俺も出来る限りフォローするから、もう少し様子見といて」
「でも、綾知さん、帰って来るの遅いし」
私がお義母さんに辛く当たられるのは、
この人が居ない時。
「そうだよなぁ…」
そう諦めたように、笑っていて。
「笑い事じゃないし」
「あ、ちょっと待ってて。
とりあえず、千花に食べる物持って来る」
「え、本当に?」
その声が、喜びで弾んでしまった。