LOVEHATE~御曹司社長と黒い子作り婚~
社長室に限らず重役の部屋は最上階の10階にあり。


上りのエレベーターを待つ間、少し気まずさを感じた。


何か話した方がいいのだろうか?と滝沢さんを見ると、
左手の薬指に結婚指輪が嵌められている。


「結婚されているんですね?」


そう口にしてから、余計な事を口にしたと思った。


まるで、この人の容姿がいいから、
その辺りを気にしていたように思われるかもしれない。


それに、初対面で初めての会話がそれって…。



「そう。
結婚して、三年。
結婚だけじゃなくて、子供も居るんだ。
男の子で二歳」


一見、クールそうな滝沢さんなのだけど。


彼氏の話をする女子高生のように、その顔が嬉しそうで。


ちょっと、ビックリしてしまった。


「そろそろ、二人目も欲しいなって、妻とも話していて。
そうなると、今のマンションは手狭だから、そろそろ家でも買おうかなって」


そうやって、けっこうプライベートな事迄話してくれる。


「妻も、昔この会社にいたんだよね。
眞山社長の秘書で」


「そうなんですか?
でも、私はまだ入社して半年なので、滝沢さんの奥さんの事は知らないんですけど。
神山さんに訊いたら知ってるかも」


後で、訊いてみよう。


「辻山さんは、結婚願望ある?」


「え?結婚ですか…」


突然の質問過ぎて、考えてはみるけど。


「ほら?篠宮君と付き合ってるんでしょ?」


「晴君…あ、はい…」


晴君の事は、一緒に居て楽しいけど。


晴君と結婚したいか、と言われると。


それよりも、何故私と晴君が付き合っているのをこの人が知ってるんだろう。


晴君から、聞いた?


それとも、先程の私と晴君の雰囲気で分かったのかな?


それを、滝沢さんに訊いてみようかと思ったけど。


エレベーターが来て、話が中断された。

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